House O . Sendai
takayuki.bamba+associates . Atelier umi . photos: © Yasuhiro Takagi
House and gallery amid the forest.
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荒さと緩さで自然と呼応する 森の中に建つ住宅兼ギャラリー。 「少しずつ自然を解釈していく事」という建主の思いから、自然の中での素朴な住まいのあり方が求められた。 荒々しい表情をもつコンクリートシェルの無柱空間に、中庭を介して住宅とギャラリーが内包されている。 中庭で食事をしたり、屋上で読書をしたり、夜空を眺めながら眠りに入ったり。建主のライフスタイルに合わせ、常に自然を感じながら生活することができるよう、屋外空間を積極的に建築に取り込んだ。 平面と断面の形状は、既存の樹木や高低差を取り込みつつ、周囲の環境となめらかに接続するように、緩やかな曲線を用いている。もっとも天井の高くなる中央に丸く大きな開口を設け、室内と中庭の面積比を1:1とすることで、外の環境の変化が中の様相をダイナミックに変化させる空間とし、シェル形状によって包み込まれる閉鎖性と外とが繋がる開放性を同時に実現した。 構造体であり仕上げ材でもあるコンクリートは、この土地の土砂を盛った土型枠を用いて打設することで、その凹凸が写り込んだ自由曲面となり、音の反響が抑えられた静かな室内環境を生み出しつつ、自然の一部のような表情となることを意図した。 内外装と一部のコンクリート工事は、インテリアデザイナーである建主による自主施工である。 まるで庭いじりをするかのように今でも日々増改築が行われ、空間が更新され続けている。自然を体感することのできるこの空間は、時間の経過と共に住居としての役割に留まらず、緑に覆われいっそう自然と一体化した姿に変わっていくかもしれない。そうした荒さと緩さで自然と呼応する、開かれた洞窟のような建築である。 (佐々木君吉+バンバタカユキ)