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Zeal architects

Detached house . Kumamoto

zeal architects . photos: © abc pictures

House next to the architects’ childhood home in Kumamoto, Japan.
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 雄大な河川に沿って建つ、一戸建て住宅の計画。建主である私の弟家族は、これから始まる子育ての場所として祖父母が暮らし、自らも幼少期を過ごした思い出の敷地を選択した。 既存の住宅も思い出が詰まった場所ではあったが、老朽化も進み、そう遠くない未来に姿形が失われることが予見された。そのため、今回の計画では、そちらには手を加えず、隣に建てる新居にこの場所で過ごしてきた記憶の要素を取り入れることで、後世へその思いを受け継いでいきたいと考えた。

この住宅は、共通の記憶としてあった「遠方から見える切妻屋根のシルエット」を意識して、既存の住宅と屋根の形状やスケールを合わせている。その一方で、がけ条例の規制範囲を回避し、大型車両が頻繁に行き交う道路からの距離を確保するため、建物幅を縮小、長さのある2層のヴォリュームとした。

また、既存の住宅において、強風や埃を避けるために締切りとなっていた道路側の開口部は、新居では設けない計画とした。代わりにそちら側へは内部動線を集約することで、全ての居室を河川側に配置、同様に記憶として残る「窓から見える川辺の景色」を再現した。 一般的に、西側へ開口部を設けることは、住環境計画の上でも避けるべきだが、この住宅においては、河川側の豊かな環境を内部に取り込み、日々の暮らしの中で感じられることを優先している。

内部は、1階の中心にLDKを配置、基礎の立上りを腰壁に見立てて、仕上げを全面タイル張りとした。 愛犬の健康に配慮しつつ、これから成長していく子供が気兼ねなく遊び回れる空間となっている。2階は、勾配天井を活かして天高にメリハリを持たせた。 天井の始点と開口部の位置を下げることで、西日対策をしつつ、全体が落ち着いた印象となるように意識した。

これまで親族が集い、慣れ親しんできた既存の住宅は、その役目を終えようとしている。これからは、隣に建つこの住宅がその役目を引き継いで、新たな思い出の場所となっていくことを願う。