house . Tokyo
Kohei Kudo & Associates . photos: © Tomoyuki Kusunose
Extraordinary ordinary single-family house in Tokyo.
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小さな敷地から大きくまちを拾い集めること 都内で暮らす夫婦のための、ワークスペースをもった住宅である。 将来的に売ることができる住宅にしたいという建主の要望から、純ラーメン造を選択し、暮らしを囲うことに加えて、住宅とは異なる機能に引き継ぐ可能性も考慮した。 狭小地のため合理的にプランを積み重ねていく一方で、敷地は三方に開いた立面をつくれるため、開口部を通してまちと生活を強く結び付けた。1階では、玄関足元にまちの気配のみ通す下窓を設け、ワークスペースは路地側を全面開口にすることでオフィスとして構えた。 2階リビングは前面道路にせり出し3面をガラス張りにし、住まい手によって用途を変える舞台のようなかたちとした。 3階に水回りとサンルームをまとめ、空地に対して大きく開くことでまちへの広がりを感じ、ロフトはトップライトからたくさんの光を受ける。 狭小地だからこそ開口部が際立ち、人の移動を伴ってめくるめくように情景が移り変わっていく。そういった生活の一部を外に放り投げるようなダイナミックさは、まちから見ても魅力的で価値の残るものになると思った。 「普通」と「特別」の混ざり合ったディティール 多方面の制限から生まれた段差や形状のズレを受け入れ、そのまま現れる立面とディティールの集まりとなるように計画した。また余分なものを隠したり省いたり手間をかける=コストをかける部分と、ラフに見せる=コストをかけない部分を建主と細かく共有し、この住宅では何が重要で、何を許容できるかを一緒に考えながら進めていった。 たとえば開口部については、まちとの関係を強調する箇所には造作サッシ、機能性が必要な箇所には既成サッシを使い、都市との関係性をはっきりさせた。そういった都市に現れるディティールの物々しさが、都市への期待と厳しさの中で背伸びをして生きる、住まいの切実さだと感じた。 一方で、清々しくひとつにまとまるような色や素材や質感を考え全体の調停を行った。この手続きの連続で生まれた混沌の中にも、ふと建築の全体像が立ち現れる。